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自己啓発

【第6回】 どうしたら正直になれるか

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photo by Ryan McGuire
2018.8.22
From 高田明和

正直になると言っても簡単ではないし、どのようにしたらよいのか分からないのが私たちです。

ブッダが亡くなられる時、弟子たちに「お前たち、四聖諦(ししょうたい)の教えは理解しているかな」と訊ねました。すると最長老のアヌルダが「師匠さま、私たちは将来お日さまが冷たくなりお月さまが熱くなる日が来ても、四聖諦の教えを忘れることがありません」と答えました。するとブッダは「そうか、それなら涅槃に入るぞ」と言って亡くなられたのです。

四聖諦というのは4つの諦めということです。何を諦めるのでしょうか。


苦諦(くたい):三法印のところでも述べたように、この世はすべて苦だということです。
集諦(じったい):なぜ苦しむかと言うと、盲目に欲望をもち、ものを欲しがるからだとしました。
滅諦(めったい):この苦しみをなくすには、欲望を滅することが大事だというのです。
道諦(どうたい):ではどうしたら欲望を滅することができるかということです。これには八つの方法、つまり八正道(はっしょうどう)があるというのです。

八正道とは次のことをいいます。


正見(しょうけん):真理を正しく知ること。
正思惟(しょうしゆい):正しく判断すること。
正語(しょうご):嘘を言わず、悪口を言わず、無駄口を言わない。これは言葉が正直であれということです。
正業(しょうごう):盗まず、殺生をせず、道徳に反する性的な関係をもたない。
正命(しょうみょう):社会に迷惑をかける仕事をしない。
正精進(しょうしょうじん):つねに努力する。
正念(しょうねん):瞬間、瞬間の自分に気づく。
正定(しょうじょう):精神を統一して、邪念をもたないこと。

つまり、思いと行いを正しくすれば、欲を滅し、苦しまなくなるというのです。この教えをよく見ると、結局、自分の心も他人の心も傷つけないようにするということです。しかし、私たちは煩悩の塊といってもよい存在ですから、悪いことを思わず、行わずなどといってもできるものではありません。

坐禅をすれば、あるいは悟ればこの境地に達することができるともいえません。悟りを開き、ブッダと同じ心境になったという老師と言われる人たちもさかんに人の悪口を言います。また、不倫を重ねる老師もいます。

難しい話になりますが、このような悟りということと、徳を積む、損なうということは関係ありません。

ブッダは「苦しみを恐れるものは悪をなすなかれ。苦しみを厭うものは悪をなすなかれ。悪をなすものはかならず苦しむ」と言われました。

つまり、徳を損なう人は健康で幸せな人生を送れないということなのです。しかし、私たちは専門の僧でもなく、修行者でもありません。八正道の実践などは不可能に見えます。

華厳経というお経に「信は道元、功徳の母なり」という言葉があります。つまり、仏の教えを完全に信じれば、それが八正道の元であり、功徳を積むことになるというのです。私は般若心経にある「能除一切苦」という言葉を信じています。つまり般若心経を唱えれば、一切の苦が除かれるというのです。さらに道元禅師の言われるように、坐禅をすれば宝蔵(私たちのもっている無限の力)が自ずから開け、それを使うことができるというお言葉も信じています。

ブッダの教え、祖師の教えを心に留めておいてください。それが健康で幸せな人生をもたらすのです。なぜか? 本当にそうなるのか? などと聞かれても答えられません。それが「信じる」ということなのです。

 

 

 

 

高田明和(たかだ・あきかず)

浜松医科大学名誉教授/医学博士
1935年、静岡県清水市生まれ。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。ニューヨーク州立大学大学院教授、浜松医科大学教授を経て、現在にいたる。テレビ、ラジオ、全国の講演を通じて、心と身体の健康に関する幅広い啓蒙活動を積極的に行っている。主な著書に『100歳までボケない脳に変わる! 速聴CDブック』(きこ書房)、『長生きしたけりゃ、医者の言いなりになるな』(朝日新聞出版)、『うつもボケも寄せつけない脳と心がホッとする健康学』(すばる舎)ほか多数。

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