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夢を編む人-DREAM WEAVER-

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photo by Ryan McGuire
2018.9.12
From マックス桐島

元ストリッパーで、セックス・ダイヤル(セクシーな会話を目的とした有料電話)のオペレーター(話し相手)だったシカゴ出身の29歳の女性が、ハリウッドの話題をさらったことがありました。

彼女の名前はディアブロ・コーディー。

第80回アカデミー賞脚本賞を受賞しただけでなく、作品賞、主演女優賞、監督賞にもノミネートされた秀作『ジューノ』の脚本家です。

ネットで知り合った男性と同棲するためにミネソタ州に移住したり、趣味でストリッパーの仕事をしたりと、とにかく破天荒な生き様をしてきたコーディーは、世間の目や常識にとらわれないライフスタイルで有名。

彼女が企画したテレビドラマ『The United States of Tara』をプロデュースした巨匠スティーブン・スピルバーグは、そんな彼女の才能を非常に高く評価していました。それは、人生経験というかけがえのない“物語”を、彼女は自分から創作する人物だからだったのだと思います。

最初に彼女の文才が注目されたのは、アメリカに蔓延するセックス産業についてのブログ。

「楽しみのために書く」がモットーの彼女は、他人のためにではなく、自分のエンジョイメント(快楽)のために物を書くそうで、ストリーパーやセックス電話オペレーターとしての経験を“当事者の視線”で書いたブログが、ネットで大勢の共感を得ました。

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その中の一人、ハリウッド映画界のマネージャー/プロデューサーであるメイソン・ノビックが彼女に、「あなたのブログは面白いので、映画の脚本を書いてみたら?」とメールを送りました。

最初は、変態男からのメールだと相手にしなかったコーディーでしたが、なにか“運命的なもの”を感じて返信。数ヵ月後、メイソンがコーディーの自伝的ストーリー『Candy Girl: A Year in the Life of an Unlikely Stripper』の出版に尽力してくれ、映画界入りへの足がかりを築いてくれたのです。

『ジューノ』は、妊娠した16歳の少女と、その赤ん坊を養子にする予定の夫婦との関係を滑稽に描いたコメディー。低予算映画ながら、コーディーの生き様を形にしたような映画は大ヒットしました。

まさに、事実(人生)は小説よりも奇なり……なんですね。

ちなみに、例の激励メールを出したメイソンは、この作品のプロデューサーとして奔走し、ネットで発見した偉才の立役者として有名を馳せています。

この“物語”の教えは「チャンスはどこから生まれるかわからない」。

だからこそ、自分の“内なる声”に耳を傾け、思い切って“自分色の可能性”に賭けてみる心意気が大切なのだということを実感させてくれるエピソードですよね。

そして、様々な体験を通じての“経験値”こそが自分の夢を編んでくれ、夢への階段を後押ししてくれる人やチャンスとの巡り合いを演出してくれる、ということなのではないでしょうか。

 

 

 

マックス桐島

人物紹介写真

ハリウッド映画プロデューサー
神奈川県出身。
ハリウッドで1990年以来、『Night of the Warrior (邦題「ナイト・ウォリアー」)』『Ulterior Motives (邦題「隠された動機」)』『Samurai Cowboy (邦題「ワイルド・ハート/遙かなる荒野へ」)』など13作品をプロデュース。また手掛けた作品は2001年度アカプルコ国際映画祭最優秀作品賞。2002年度ニューヨーク・インディペンデント映画ビデオ映画祭最優秀スリラー作品賞、主演男優賞などを受賞。著書に『NYビジネスマンはみんな日本人のマネをしている』(講談社プラスアルファ新書)など多数。
http://www.amazon.co.jp/-/e/B004LRJOSM

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