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我が家とは”心が居る“場所のこと -HOME IS WHERE YOUR HEART IS-

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photo by PeterThoeny Sun settling over Snow Ranch via photopin (license)
2018.7.10
From マックス桐島

増える移民人口

日本を襲った大雨、アメリカに次々と襲来する大型ハリケーン、世界各地で起こる地震の連鎖など、最近の天変地異は、「想定外」という表現を超越した大自然の脅威を地球規模で感じさせます。

どこに住んでいようと、どこの国の人間であろうと、故郷への思いは万国共通ですが、アメリカと日本のデュアルライフを過ごしていて感じることは、日本人の母国愛の強さです。

ハリウッド仲間には外国人も多くいますが、彼らが口にするのは、母国への批判やアメリカがいかに母国よりも優れているかという点。イラン出身のプロダクションデザイナーは「資本主義かぶれ気味なイスラム教徒、イランには絶対に戻らないと母国を忌み嫌う人、そして、アメリカ批判をしながらも米国籍を取得してアメリカンドリームを追いかける人、と様々なイラン人がいるが、彼らにはもう愛国心はないように見える」と語っていました。

世代を超えて、母国の伝統を重んじる中南米系移民とは一線を画す感じですが、今のLAを見ていると、「歴史は繰り返す」という言葉がピッタリ。スペイン系、中国系、イスラム系移民は、国外に出て栄え、やがてはその国を征服して領地にしてきました。LAで生粋の白人を見かけなくなった感じがするのも、我々日本人を含めた移民人口が増えているからで、イギリス、フランス、ドイツなどのヨーロッパ大国も「人種のるつぼ」になっている状況の陰に、移民の逞しい順応力と生活力を垣間見る気がします。

愛国意識

ニョーヨーカーのあるスタジオ重役は、「住みなれたLAが今では故郷。子どもはLA育ちだし、サンクスギビング(感謝祭)でニューヨークに帰っても、子どもの頃の愛着心はなくなった」とどこか寂しげにつぶやきました。

LAで夕食を共にした、とあるスタジオ重役と、津波災害やハリケーン被害の話題になったことがありました。故郷ニューヨークの停電や豪雨被害で肝をつぶしたと語る彼が、僕にこう質問してきたのです。

「我々ニューヨーク出身のユダヤ人は、イスラエル出身の生粋のユダヤ人とは共通意識が薄いけど、ニューヨーカー独特の連帯意識は強い。LAに移住した日本人は、自分たちをアメリカ人と思うのか、それとも日本人だと思っているのか?」

「アメリカ国籍を取得した人、数十年のアメリカ生活の後に帰国した人、日本のことなど忘れてしまった人、そして、外は黄色いが中身は白い”バナナ”と呼ばれる日系3世、4世と、さまざまなジャパニーズを知っているけど、誰の心の底にも、母国を憂ったり懐かしく思う愛国意識が常にあると思う」

そう答えた僕自身も、10代で渡米して40年間過ごしたアメリカが母国と言う意識もありますが、やはりオリンピックやワールドカップとなると、日本への強烈な愛国心が頭をもたげます。

故郷は常に心の中に

そして、LAが最高の天国だと思って暮らしていた自分も、そこから離れて暮らすことになると、住んでいた時には分からなかった良さや悪さが、客観的に見えるようになってきます。

「You can take a boy out of the country but you can't take the country out of a boy.(田舎から少年を連れ出すことはできても、少年の心から田舎を消すことは不可能)」ということわざのように、祖国への愛着心は、母国を離れた人の方が強いのかもしれません。

人間は誰でも、故郷の災害などの悲痛なニュースを耳にしたとき、自分の望郷の念を再認識して心が揺さぶられます。マサチューセッツ州の竜巻災害の際、僕がその昔数年間住んだ町の惨状をYouTubeで見ただけで涙が出たのも、一種の望郷の念であり、自分の人生行路の1ページを飾ってくれた場所への心のオマージュだったのだと思います。

“故郷”は遠きに在りて思うだけでなく、常に心の中に在るものなのですね。

 

 

 

 

マックス桐島

人物紹介写真

ハリウッド映画プロデューサー
神奈川県出身。
ハリウッドで1990年以来、『Night of the Warrior (邦題「ナイト・ウォリアー」)』『Ulterior Motives (邦題「隠された動機」)』『Samurai Cowboy (邦題「ワイルド・ハート/遙かなる荒野へ」)』など13作品をプロデュース。また手掛けた作品は2001年度アカプルコ国際映画祭最優秀作品賞。2002年度ニューヨーク・インディペンデント映画ビデオ映画祭最優秀スリラー作品賞、主演男優賞などを受賞。著書に『NYビジネスマンはみんな日本人のマネをしている』(講談社プラスアルファ新書)など多数。
http://www.amazon.co.jp/-/e/B004LRJOSM

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